恵みの福音(2023年5月) 通巻658号より

フィリピン派遣宣教師団(梅﨑師・コリエル母娘師・清田師、1961年9月)

 1961年9月、本部の献堂式に続けてフィリピン派遣宣教師団の送別会が行われました。埼玉県毛呂山町に拠点ができたことで、東洋ローア・キリスト伝道教会は自立への道を歩み始めると同時に、宣教師を送り出す立場に。コリエル両師も宣教地をフィリピンへ徐々に移していきます。

黙って聞く姿勢が必要

ヤコブの手紙 1章19節

 私たちは、教会内だけでなく社会の中でも、キリストが教えられた隣人愛を示すことは大切だと思います。例えば、人の悩みを聞くこと。それだけでなく、その人の不満や愚痴、非難や忠告が自分に向かって語られるとき、黙って聞く姿勢も隣人愛の1つです。 ヤコブの手紙1章19節に「聞くのに早く、語るのに遅く、怒るのに遅くありなさい」の3つの勧めがあります。 誰でも人から直接不満や愚痴、非難を聞くと疲れます。そのため、その人と距離を置いたり、都合が悪いと言ってその場を逃げ出したりしていないでしょうか。たくさん言いたいことがあるその人の心を無視しないで、配慮する姿勢が必要です。話を聞く態度がないと相手に失礼になります。 非難や不満を聞くときどうしたら良いでしょうか。「沈黙は金、雄弁は銀」ということわざがあります。「何も語らず黙っていることは、優れた雄弁よりもまさる」というたとえです。相手の話を聞くとすぐに「頭に来た!」「あなたが悪い!」と言うのは良くありません。「悪いことばを、いっさい口から出してはいけません」(エペソ4:29)。なぜなら、悪いことばによって人間関係が壊れてしまうこともあるからです。「自分の唇を制する者は賢い人」(箴言10:19下)なのです。 また、批判や非難、忠告であっても相手からはっきり言われると腹立たしく思うこともあります。しかし、「怒るのに遅くありなさい」のように、じっと我慢して受け入れるべきです。その人を尊重されたキリストの愛のようにです。怒りや暴言は相手との関係をますます悪化させ、周囲の雰囲気も気まずくなります。自分の力では怒りの感情を抑えることはできません。聖霊の助けを祈りつつ人の話を「聞く」とき、社会にもキリストの良いあかし人となるのです。

(近藤信二師)