恵みの福音(2023年11月) 通巻663号より

クリスチャン生活への出発
クリスチャン生活への出発

 小冊子『クリスチャン生活への出発』は、1971年に定価50円で初版が発行されました。翌年に加筆した改訂版(左上)が100円で発売され、現在使われている最新版(右)の土台となっています。
 2009年には補助教材も作られ、初信者や未信者の学びに用いられています。

しっかりしなさい。わたしだ

マタイの福音書 14章27節

 イエス様が荒れるガリラヤ湖の上を歩き、さらにペテロも続いてこの湖を歩いたという有名な出来事です。主はこの悪天候を予知していたにも拘わらず、弟子たちを舟に乗せて湖に出し、心を試して訓練したかったのだと思います。夜明け前、舟が波に揉まれ弟子たちは死に物狂いになっていると主が湖の上を歩いて近づかれます。すると「あれは幽霊だ」とおびえ、一層恐怖に襲われたのです。舟が沈む恐怖と幽霊を見た恐怖心が弟子たちの心を圧倒的に支配したのです。ベテランの漁師だった弟子たちもどうすることも出来なかったのです。私たちも同じ心境になるでしょう。
 イエス様は恐怖でいっぱいの弟子たちに向かって「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」と言われました。大波を見、幽霊と見間違う恐怖心のままではなく、イエス様だと心から叫んで信頼し委ねる信仰的生き方を求めておられるように感じます。今私たちの周囲には災害や戦争、経済や家庭の危機など不安な情報が溢れています。その上忙しい生活をして、本当に神に信頼できているでしょうか。日々の生活の中でイエス様を崇める習慣を作ることこそ重要な基礎だと思います。感情に左右されて自分の思い通りに物事を進めて周囲の人も混乱させたサウル(Ⅰサムエル13:8~15)のようでもいけません。たとえ切迫した状況でも、情報や流行などに翻弄される不信仰な生活にならないように、焦らず神の時を待つ平常心を心掛け「主よ、助けてください」と導きを祈りましょう。
 「あなたがたは心を騒がせてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい」(ヨハネ14:1)。

(砂川昇一師)