恵みの福音(2022年1月) 通巻643号より

嘆きの壁(西の壁)
嘆きの壁(西の壁)

 神殿の西側にある高さ19メートルのこの壁は「嘆きの壁」と呼ばれています。紀元70年の神殿崩壊後、多くのユダヤ人が西側に残ったこの壁にやって来て、涙を流しながらイスラエルの回復を祈ったと言われています。壁に向かって左側が男、右側が女の空間に分かれ、旅行者を含め誰でも入ることができます。

イエスという名

ルカの福音書 2章21節

 新しい年を迎え、届いた年賀状のお名前と顔を思い浮かべながら祝福を祈る方もおられるでしょう。人の名前は単なる記号ではなく、その人自身を表すという大切な役割があります。
 私たち人間の祖先となったアダムは、すべての家畜、空の鳥、すべての野の獣などの生き物に名をつけたことが創世記に書かれています。名前をつけたことによって、アダムは生き物との関係を築いて生きていくのです。また、人の名前には、親の子どもに対する願いが込められています。親は子に対して、どのような人になってほしいかという願いをもって名前をつけます。
 主イエスの誕生に際してつけられた名前は、マリアとヨセフがつけた名ではなく、御使いのことばにしたがってつけられた「イエス」という名でした(ルカ1:31、マタイ1:21)。それは、マリアが男子の初子を産んで八日目のことです。当時のユダヤの文化では、幼子は生後八日目に律法の規定にしたがって割礼を受け、命名されました。
 「イエス」という名はユダヤ人一般的につけられていた名ですが、救い主として来られた御子の特別な意味を持った名前です。すなわち、「主は救い」という深い意味があり、御使いが「この方がご自分の民をその罪からお救いになるのです」(マタイ1:21)と語られたご生涯をイエスは送られたからです。
 イエスは、私たちの罪を贖ってくださり、イエスの御名を呼び求める者の人生を変え、愛で満たし、心に平安を与えることがおできになるのです。いつくしみ深く、恵み豊かな神様は、主の御名に信頼する者を最後まで守り導いてくださいます。天の下でイエスの御名のほかに救われるべき名はないからです(使徒4:12)。新しい一年も、私たちのそばにおられる唯一の救い主、イエスに信頼し、新たな望みを抱きながら歩んで行きましょう(ピリピ2:9-11)。

(足立幸典師)